祈りのあしあと

世界は いつも同時進行で

今日という日は

誰かにとっては 

忘れがたい つらく悲しい日であり

また誰かにとっては 生涯忘れられない

喜びに満ちた日でもあるはずで

そういう世界に みんな 

みんな立ち尽くしている

わずかでも この身をひきずって

ひかりを

体温を

ああ

すこしでも 歩けるなら

 

どこへ向かうわけでもなく

目的なんて 忘れてしまったころ

いつか どこかで 誰かが あなたが 

ふと 振り向いたら

たくさんのあしあとが きっと

 

ならんだ あしあとでなくても

まっすぐな あしあとでなくても

それは

重力と かなしみと よろこびと 

 

ぜんぶの あしあとが

見えてしまって

わたしたちは 祈ることしかできない

願いは それはもう遠く

遠く 光る 六等星のよう

 

ただ いま この目前の地面を踏む

おろかでも

どうか

どうか とつぶやきながら