旧い
揺られて にじんだ色を見た
濁ったのか混ざったのか そりの下に ろうを塗った
眠るまえ となりの部屋の古いラジカセから
知っている誰かの声を聞いたような気がした
本当はただの 音楽だったのかもしれない
奥にある部屋は 冷たくそれは心地よかった
あまりに古いコンピュータが カセットテープを読み込んでいた
今ではもう聞かない たとえようのない 音を出していた
全ての文字は 記号は 緑色に光っていて
大きな栗の木があった
その下には踏むと胞子の煙をまき散らすキノコもあった
簡素なコンクリートの橋も
汚れきった川も
大きな亀のように見える植え込みも
祝福 祝福と
2階はさみしい場所だった
机の引き出しにしまわれたゲームウォッチ
大きなポールに泳ぐ鯉のぼり
雪の降る夜にひとり
雪が自分のからだに落ちる音を聞いていた
幸福と 黒い猫と
黄色い車 小さな苺
布団をたたく音がして
ゴミを燃やす煙はおおきく格好よかった
航空写真は まだあったか
大きくにじんで 誰もが忘れてしまった?
祝福が 祝福を