長く

10代のときにはぼんやりと思っていた

この苦しみは

大人になったら終わるんじゃないかと

 

やがて自然に

生きるのが上手くなって

ずるくなって

何もかも曖昧になって

麻痺してしまって

苦しみもどこかにいってしまうんじゃないかと

 

それからいくらか時間が経って

そんなことは都合のいい幻想だと知る

 

悲しさは苦しみは

実のところ真冬の雪みたい

降り積もるばかり

 

年を取った分

鈍くはなった

それなのに

 

苦しみだけ鋭利に

手をのばすことも

足を踏み出すことも

 

光の散るのを見ても

音を聞いても

油断してた方向からも

知りたくもないことも

 

そのコントラストだけ強く

自分は自分を許せずにいる

 

愚かしさも

いとしさも

ただただ息が詰まる

 

あなただけは時が止まって

結局なにもないところに

 

遠くのファンファーレ 

ファンファーレ

 

空をきる

汚れた机

それと何を

 

むやみに長く生きて

それで

何を思うかな

思うかな