うその

作り話のような

嘘のような

美しい関係性がどこかにあって

 

雨に濡れても

ただ並んで歩いていたとしたら

 

嘘のような

作り話のような

やさしさがどこかにあって

 

どんな片隅にも

うたが響いたとしたら

 

その目を合わせて

電子の記憶のどこか

膨張のさきのどこか

手にするコップの気泡の中にさえ

丸めてすてた紙の切れ端にさえ

 

呼吸を聞く

 

きしむ世界の片隅の

泥にまみれた羽根の

 

知りたくもないことが

今や

それがあなたの一部

 

ヘラヘラとした連中が酒を忘れたら

足を引きずることさえ

笑うなら

 

些細な名前に何か大層なことを思った

やがて

 

君は遠くへ行く

ぼくはここを動けずにいる

 

君はそれを気にしない

ぼくはそれにほっとしている

 

あの歌詞を君はずっと間違えて覚えていた

それでも

 

君は誰のことも待たない

ぼくはまだ立ち尽くしている