エンプティ、エンプティ

酒を飲み過ぎて

外に出る 雪が降っている

冷たい空気を吸い込む

アルコールに氷点下のぴんとした匂いが混ざる

 

踏む雪は鳴る

タクシーは行列をなす

曖昧に川を渡る

点滅は遠い

 

張り付いた缶ビールをはがしたところで

 

消火栓を掘り出さなければならない

雪の重さで枝は折れる

 

通気口の寒さ

澄んでしまって見える電飾への恨み

 

一秒たりとも疑うこともせず

 

金も土地もあるのだと言った

むやみに笑うのだ

うやむやに泣くのだ 泣いていない

 

明日がなければこわいこわい

明日があればこわいこわい

 

ガソリンのメーターはどこを指している

 

あなたの気持ちはわかりません

 

あなたの手を

握って

泣くことを

どうか

お許しください

 

今だけの

 

氷が鳴って

おしまいさ

 

歩け どれだけ いや

何もなく 大丈夫なように

たいそうな 看板が建っても

何も言わないから

 

信号を待って

どうにもならない

君が ぼくが

 

まだ手を伸ばす また手を伸ばす