大きなクリスマスツリーはただ立っている

神戸「世界一のクリスマスツリー」について少し調べて知って、

何ともいえないイヤな気分に襲われ、どうにもそれが離れず

これはどういうことなんだろうと思い、文章を書き

自分は何に対して嫌悪を感じているのか、整理しようとした。

 

ある程度整理できた気もしたのだが、それでも何かまだ引っかかる。

 

そう思っているとまた別の情報が流れてくる。

※※確実な情報ではありません※※

去年の秋、大阪のとある庭園に

「世界一のクリスマスツリー」を立てるイベントをやらないかと

【TBS情熱大陸のスタッフといっしょに】西畠氏が売り込みに来た、とのこと。

※※確実な情報ではありません※※

 

確実ではないものの庭園の公式ツイッターが書き込み、

その後何か不都合があったかのように消したことから信憑性は高いと思われる。

 

【TBS情熱大陸】は12月17日に番組20周年スペシャルとして

プラントハンター西畠清順氏を特集する。

 

これまでの西畠清順氏の言動から、

今回の「世界一のクリスマスツリープロジェクト」はもともと

長崎ハウステンボスで計画されていたものの実現が白紙になったこと。

その後神戸での実現にあたって「阪神淡路大震災への鎮魂」が後付けされたこと。

ここまでは明確だった。

 

「世界一のツリーを立てた人物になりたい」という私欲ありきで、

阪神淡路大震災への鎮魂」を利用した西畠清順氏という構図だったが、

どうやら

 「世界一のツリーを成功させる(予定の)西畠清順氏」を利用し、

感動物語的番組として成功させたい【TBS情熱大陸】の都合ありきで全ては動いていたようだ。

それもずっと前から。

他の候補地にも売り込みをしていたのだから、

「世界一のツリー」をどこに立てるかなんぞハナから関係なかった。

阪神淡路大震災への鎮魂」は後付けどころではない。

西畠清順氏の中にも【TBS情熱大陸】関係者の中にも

一ミリたりとも存在していない思いだったんだ。

 

「世界一のツリーを立てて名を売る」という目的を持った西畠清順氏。

彼を利用して番組を成功させ西畠清順氏をコンテンツ化することで稼ぎたいTBS。

こういう構図だったのだ。

糸井重里氏が不自然なまでに沈黙するのも、

なぜか急に豪華芸能人が応援に駆けつけるのも

テレビ局が裏で動いていたことで説明がついてしまう。

 

以前私は

「世界一のクリスマスツリーを見ていやな気分になったのは、

この一本のあすなろの木の後ろにどこまでもどうしようもない人間が

山ほどいることが見えるからだ。」

と書いた。

そのぼんやりと見えていた「どこまでもどうしようもない人間」が

具体的に見えてしまった。くっきりと、いやと言うほどに。

 

阪神淡路大震災への鎮魂」は西畠清順氏個人に利用されたのではなく

もっと多くの、もっと大きな欲望に利用されていたんだ。しかもものすごく軽い覚悟で。

 

西畠清順氏や糸井重里氏を利用して儲けようとしているTBSの本音は容易に想像できる。

「こんな程度で視聴者を騙せるだろう」「感動物語でひともうけ」

「神戸でやれるなら都合がいい鎮魂とでも言っておけ」

「西畠氏を御輿に乗せるだけのボロい商売」「せいぜい優良コンテンツに育ってくれ」

 

人の死や過去のつらい出来事や今現在抱えている苦しみ、

そういうものを利用して儲ける。

そういうことをテレビ局は繰り返しやってきた。今回もそれなんだ。

 

それでいてテレビ局は、大手ディアはやはりおそろしい。

巨額の金を動かすことができ、不都合な発言を封じ、

著名人を広告塔として立てることで大衆の印象も操作する。

大手メディアには大きな力があることは確かなんだ。その分悪意をもって動くけばひどい影響が出る。

 

それでも彼らにとっては利益さえ出れば正義なのだろう。

それが世の中の仕組みだと笑うだろう。

 

大きな悪意が大きな流れを作るとき、個々人のささやかな善意や抵抗は無力になってしまう。

 

「世界一のクリスマスツリー」に感じていた消しがたい嫌悪はそいうことかもしれない。

こんな大きな木を運ぶほどのエネルギーの後ろにぞっとするほどの悪意がある。

 

「大衆なんぞ簡単にコントロールできる」

「利益を上げ、自分たちが尊敬を集めるためなら何を利用しようが関係ない」

そういう人たちがツリーの陰で笑っている。

それでも、ツリーは海の風を受けながらただ立っている。